Live Report from Yokohama Arena(10/3 2001) 前日の武道館のノリがイマイチ、トムの機嫌が悪かったなどの噂が錯綜する中、10/3、横浜アリーナでの公演は迎えられた。一部の客のみがNO!と一緒にのって歌うだけと言う寂しい空気のまま終ったCLINICの前座。正直僕は一抹の不安と寂しさを感じずにはいられなかった。聞いたところによると武道館では客の入りもマダラな内にCLINICは終ったらしい。それに比べれば観客の入場が終ってから開演された今日はまだいいのかもしれない。それでも客のノリには不安を感じずにはいられなかった。そして――。 午後八時、レディオヘッド登場。会場の空気はがらりと変わる。鳴り響くベース音。National Anthemだ。ループして繰り返されるその低音の音色が、否がおうにもテンションをあげていく。不安などもう彼方に置き忘れてしまったようだった。ミンガスのホーンセクションもない。それでもその曲の存在感は圧倒的なものであった。まさしくレディオヘッドの音。的確に刻まれていくそのビートは、全てをひきつけて離さなかった。そしてノイズの鳴り止まぬままHunting Bearsへと雪崩れ込む。すぐに短く「次は…」と日本語でMorning Bellを紹介しキーボードを弾くトム。あっという間に三曲が終った。そのどれもがKID A、AMNESIACの二枚のアルバムからの曲であった。正直、僕はこの二枚のアルバムはそれ以前のものほど好きではなかった。その二枚は僕にとって何処か冷たく、哀しい気分にさせられるものでしかなかった。あまり生を感じさせないのだ。しかし、その意識は全てこの瞬間に塗り替えられた。 その後はBENDS以降の曲が新旧織り交ぜられて続く。No Surprisesでは珍しく歌詞を間違えたトムがはにかむ姿が印象的だった。しかしそのようなミスも寧ろ客を引き込んでいく。Dollars and Centsの終盤の混沌としたノイズ、Talk Show Hostの悲しなギター。一つ一つの楽曲が何かを貫いていく。そうして渦巻いていったものをシェイクしてひとつにまとめてしまったJust。続くExit Musicは眼が潤んで仕方がなかった。しかしそれで終わりではない。ライブはそこから更に加速していく。 Justを皮切りに始まったのは代表曲のラッシュとしかいいようがなかった。怒涛のように押し寄せる名曲の群。もうそこにそれ以上の何を求めろと云うのかと云わんばかりの流れ。それを語れる言葉はたった一言しか思いつかない。 最高。 月並みかもしれない。しかしそれ以上の何も語ることはできない。僕はここで至上の一時を体験できたことを感謝する。
歌詞の詳細に関しては当HPの対訳を参照ください。
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